BRONJ
2014年もあと2ヶ月となりました。
毎年思う事ですが月日の経つのは日増しに加速度がついている様な気が致します。
さてタイトルを見て何の事? と思われた方が大半だと思いますが......
BRONJとは、Bisphosphonate Related Osteonecrosis of the Jaws の略でして『ビスホスホネート製剤を服用、あるいは注射が原因で顎骨壊死を招く事がある病態』の事です。
先日、暑い夏の日に『顎顔面インプラント学会の教育研修会』が開催され熱くディスカッションが行われました。
理事長の瀬戸先生は、「歯科インプラントは最高の機能回復医学であり、インプラント治療によって口腔機能回復、咀嚼能力の維持、向上は高齢化社会においても認知症の発生防止や生き生きとした生活維持に有用性が認められるまでになった。しかしながら、治療関連のトラブルが皆無という訳ではないので色んな角度から再考し益々安心安全で確実性の向上を目指して行こう」とお話されました。
教育研修会では、様々な論議がなされましたが今回はBRONJについて簡単に記載したいと思います。
冒頭でも書きました様にBRONJとはBP製剤を服用、あるいは注射が原因で顎骨壊死が起きてしまう事がある病態です。
では、どんな方がビスフォスフォネート製剤を服用しているかというと、一つには骨粗鬆症といって骨の脆弱性によって骨折が生じ易くなる疾患をお持ちの方々。
また注射をされてる方は、癌の骨転移が認められてる方々です。
骨は、リモデリングと言って代謝を繰り返します。
remoderingとは、骨を壊す働きをする破骨細胞が骨を吸収する一方で、骨を新たに作る骨芽細胞が破骨細胞によって壊された部分を修復していく事を言います。
このリモデリングが絶えず続けられる事で年間に20~30%の骨が新しくなっていくのです。
では、BP製剤がどのようにして作用するかですが、先程言いました破骨細胞ががん細胞の刺激を受けて骨を壊し、がん細胞が住み着く場所を作ってしまうのに対し、BP製剤が破骨細胞の働きを妨害してがん細胞が住み着けないようにします。
つまりは、正常な骨代謝(リモデリング)を阻害することで骨病変の進行を抑制しているのです。
それでは、BP製剤によって起きうる顎骨壊死ですが、顎骨壊死とは正に顎の骨が腐ってしまう病態です。
写真に見られる様に、抜歯によってその周囲の骨がむき出しになったり腐ってしまいます。
BP製剤を服用、注射している方全てに起きる訳ではありませんが、ある統計によると注射で1%~12%、服用で0.01%~1% の発現だと言われております。
そんなに多くはないとはいえ、発現の可能性はある訳ですから気をつけなくてはいけません。
抜歯をしてインプラントなんて愚の骨頂です。
とは言え、がんの骨転移の方々は注射を止める訳にはいきませんので 癌治療を始める前に口腔内の検査と治療をしておく事が大切です。
また骨粗鬆症の方々で、暫く休薬する事が可能であれば....ある論文では2年間服用された方が2年間服用を止めた事によってBP製剤の血中濃度が限りなく0に近いと言われております。
いずれにしても明確なエビデンスのあるものは現在においてはありませんので注意が必要です。
常日頃から口腔内を清潔に保ち、治療しなくてはいけない箇所はさっさと治す事が重要です。
皆さんの中で、自分が飲んでるお薬がビスフォスフォネート製剤である事を知らない方がいますが
このお薬の飲み方には特徴があり、『朝、起きたらすぐに服用して30分は横になってはいけません』
お医者さんや、薬剤師さんにこのような説明を受けたお薬を処方された方は必ず歯医者で申告して下さい。
お願い致します。
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