ありがたきお言葉
梅雨の中休みでしょうか? 暑い日が続きます。 さて昨年5月より医院休診日の木曜日に東京都世田谷区の『介護付き老人施設』に訪問診療に伺い約1年.....
行き始めたばかりの頃は、慣れない事ばかりで戸惑う事も多く ベッドに寝たきりの方、車椅子の方 意志の疎通の取れない方、循環器や代謝疾患のお薬の服用は勿論 ストーマを着用されている方、様々なタイプの認知症などなど.......そんな中 施設で生活される方々が少しでも快適に食事が摂れるよう、また誤嚥性肺炎のリスクを軽減出来るよう 微力ながら出来る事をやって参りました。この一年を振り返りますと パーキンソン病の悪化に伴い入院された方、上顎の前歯しかなくて いつも飴ばかりを舐めていた方がケンタッキーフライドチキンを食べて見たいという事から上下入れ歯の作成に着手したものの完成間近で老衰で亡くなられた方、訪問の度に『初めまして』とご挨拶する方もいらっしゃいます。また100歳を超えているにも関わらず、意志の疎通は勿論の事 その方の描かれる絵はプロ級です。
そんなある日、とても上品で可愛らしいご婦人Nさん(91歳)が、先月 お亡くなりになったと施設より報告を受けました。 その方はベッドに寝たきりでしたが、毎月2回 入れ歯の調子を診させて頂いておりましたが 行く度に非常に喜んで頂き『お口の中が軽くなった。また待っています』と言って頂いておりました。 先日いつものように施設に伺った際 施設レセプションの方から先日亡くなられたNさんのお嬢さんからお手紙を預かっているという事 お手紙には『生前 母が大変お世話になりました事を心より感謝致します。』と書かれていました。特別な事をやっているわけではなくNさんに出来る事を普通に行っただけに お嬢様からのお手紙は非常に有難く感銘致しました。
この暖かいお言葉を忘れずにこれからも施設に入居されている方々のお役にたてますよう努力致したいと思います。